井上洋介建築研究所
メッセージ
住宅には建築主さんがいて、その人に相応しい家を建てるのが建築家の役目です。
建築主の要望に沿った形で、「こういうものがほしかった」と言ってもらえるように、打合せをしながら、家を造り上げていきます。
何気ない雑談の中から建築主の考え方や好みを知ることができるので、なるべく人間性や好みを理解して設計に生かすようにしています。
また、家は一生ものですから、飽きのこないものがいい。10年後、20年後と時間が経ってもよいと思える家でなくてはならないと
考えています。
- 略歴
- 1966年
- 東京都生まれ
- 1991年
- 京都大学工学部建築学科卒業
- 1991年
- 坂倉建築研究所
- 2000年
- 井上洋介建築研究所設立
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- 受賞歴
- 2004年
- 静岡県建設業協会優秀賞
- 2010年
- 日本建築家協会優秀建築選
- 2012年
- 日本建築学会作品選集
- 2014年
- 日本建築家協会優秀建築選
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建築事例
- Ⅰ.石の別荘 河口湖畔のゲストハウス
- 敷地面積
- 2351.37㎡(711.29坪)
- 延床面積
- 652.33㎡(197.33坪)
- 構造
- RC造
- 階数
- 地上2階
- 敷地環境
- 平坦地
- コンセプト
- 「富士山を眺めて過ごす石の別荘」
いつまでも魅力を失わず、その場所にあり続けることのできる建築とはどんなものなのか。この問題に向き合いながら、時間をかけて完成させたのが、この石の別荘である。
1.敷地のもつ富士山の眺望を最大限に生かすこと。
2.時間が経って、その良さが感じられるような建築をつくること。
3.普段の生活を忘れて過ごすことのできる上質な非日常空間をつくること。
以上のテーマで設計に取り組み、ここに、さまざまな自然素材が互いに響きあって生まれる「普遍的な美しさ」、「強さ」をもつ特別な場所をつくりたいと思った。
- Ⅱ.葉山の別荘
- 敷地面積
- 336.47㎡(101.78坪)
- 延床面積
- 156.64㎡(47.38坪)
- 構造
- 木造、一部RC造
- 階数
- 地上6階
- 敷地環境
- 傾斜地
- コンセプト
- 「海に向かって開かれた切妻屋根」
この別荘は葉山の海を見下ろす山の斜面に建っている。建物は鉄筋コンクリート造の基礎の上に、木造の切妻屋根がのり、敷地境界に沿った細長い平面形が端部で海に向かって角度を振って配置されている。
上階は、三角天井が伸びやかに続くワンルームで、エントランスからダイニング、リビングまでオープンにつながる大空間。リビングの先には海を一望する広いテラスがつながっている。下階は斜面の高低差を利用して居室がレベル差を伴いながら配置され、奥にテラスに面した浴室がある。下階のテラスは夏には風呂上りにサンセットを眺めたり、夕涼みをしたりすることができるようゆとりをもって作られ、直接、階段またはすべり台で庭に下りることができるようになっている。
内部の仕上げは、床はナラ材のフローリング、壁と天井は砂漆喰で、一部木が張られている。キッチンや洗面カウンターなどのカウンター材は人造石研ぎ出しで作り、グレーイッシュなシックな質感を作り出している。
海を一望するダイナミックな眺望にめぐまれながらも、内部は落ち着いた静かな雰囲気が全体に渡って感じられるようにしたいと思いながら設計を重ねた。
- Ⅲ.下北沢の家
- 敷地面積
- 162.36㎡(49.11坪)
- 延床面積
- 297.92㎡(90.12坪)
- 構造
- RC造(一部鉄骨造、木造)
- 階数
- 地上2階・地下2階
- 敷地環境
- 平坦地
- コンセプト
- 「コンクリート、鉄、木の住宅」
下北沢の商店街に程近い住宅地に建つ、地下2階・地上2階建ての住宅。地階はRC造、地上階はRC・鉄骨・木の混構造である。玄関を入ると吹抜けのギャラリースペース、階段を上がるとダイニング越しにテラスが広がる。4枚のコンクリートの壁の間から、周辺の緑を借景として取り込み、内部は壁に守られながらも自然を感じることができる。
コンクリート、鉄、木の3つの素材は、それぞれ構造の役割を果たしながら、仕上げとして内部空間を構成し、力強い存在感と素のままの表情を見せている。コンクリートは3種類の異なる幅の杉挽板による出目地をいかした表現とし、光によってさまざまな表情、陰影を見せる。昔から使われてきた、どこにでもある素材を新たに再構成し、力強い豊かな空間をめざした。